インディーゲーム開発者のためのプレスキット&プレスリリース完全ガイド
「自分のゲームをメディアに取り上げてもらいたいけど、何を用意すればいいかわからない」——多くのインディー開発者が最初にぶつかる壁です。メディア側は日々大量の新作情報を受け取っています。その中で記事化されるかどうかを左右するのは、ゲーム自体の面白さだけでなく「情報の出し方」です。
本記事では、メディアに取り上げてもらいやすくなるプレスキット(メディアキット)の作り方と、プレスリリース文章のテンプレートを、実例を交えて解説します。
そもそもプレスキットとは?
プレスキット(メディアキット)とは、メディア関係者やインフルエンサーがゲームを紹介する際に必要な情報・素材を一式まとめたものです。
ライター視点で考えると分かりやすいのですが、記事を書く際に毎回開発者へ「スクリーンショットください」「価格はいくらですか」「リリース日は?」と確認していては、執筆スピードが落ちます。逆に言えば、必要な情報がすぐ手に入るほど、記事制作もスムーズに進めやすくなり、結果として記事で紹介される可能性も高まります。
プレスキットは、いわば「メディアに渡す自己紹介書類一式」。これがあるかないかで、取材や掲載までのやり取りをスムーズに進めやすくなります。
プレスキットに入れるべき要素
最低限、以下の項目は揃えておきましょう。
1. 基本情報(ファクトシート)
- ゲームタイトル(正式名称・読み方)
- 開発者名・スタジオ名
- ジャンル
- 対応プラットフォーム
- リリース日(未定の場合は「2026年内予定」など範囲でも可)
- 価格
- 対応言語
- プレイ人数
- 公式サイト・SNSアカウントのURL
2. ゲーム概要文
長文・短文の2パターンを用意しておくと便利です。
- 1〜2文の要約(SNS投稿やリスト記事向け)
- 200〜300字程度の紹介文(記事の導入部に使われやすい長さ)
メディア側としても、そのまま参考にできる紹介文があると記事を作りやすくなります。逆に独自の言い回しや凝った表現は意図が伝わりにくいことがあるため、シンプルで具体的な事実ベースの文章を心がけましょう。
3. 画像素材
- ロゴ(背景透過PNG、複数解像度)
- スクリーンショット(最低5〜8枚、1920×1080px以上推奨)
- キーアート(記事のアイキャッチに使われやすい横長・縦長両方)
4. 動画素材
- トレーラー動画のリンク(YouTube/Steam埋め込み用URL)
- GIFアニメ(SNS投稿で使われやすい)
5. 開発者プロフィール・開発背景
- 開発のきっかけや込めた想い
- 過去作品の実績(あれば)
- 受賞歴・出展歴
ここは単なる経歴の羅列ではなく、「なぜこのゲームを作ったのか」というストーリーがあると、インタビューや特集記事などで紹介される際の材料にもなります。
6. 連絡先
- 取材・問い合わせ用のメールアドレス(個人のSNS DMより、専用メールの方が信頼度が上がります)
プレスキットの形式
凝ったWebサイトを作る必要はありません。以下のような形式でまとめておけば十分です。
特にpresskit()は海外メディアにも見慣れたフォーマットなので、グローバル展開を視野に入れている場合は選択肢の一つとして検討してみてもよいでしょう。
プレスリリースの書き方
プレスキットが「素材集」だとすれば、プレスリリースは「今回のニュースを伝える本文」です。リリース日決定、Steamストアページ公開、大型アップデート、イベント出展など、ニュース性のあるタイミングで都度発行します。
基本構成(5W1H+逆三角形構成)
ニュース記事の基本である「結論を先に、詳細を後に」という逆三角形構成を意識しましょう。重要な情報から順に伝えることで、読者やメディア関係者が短時間で内容を把握しやすくなります。最初の1〜2文を読んだだけで、何のニュースかが分かる状態が理想です。
テンプレート
以下のテンプレートをコピーして使ってください。【 】内を実際の情報に置き換えるだけで形になります。
書く際のポイント
タイトルで結論を伝える 「新作発表!」のような煽り文句より、「いつ・何が・どうなる」が分かるタイトルの方が、メディア側は内容を瞬時に判断できます。
数字や固有名詞を入れる 「面白いゲームです」より「3つのエンディングを持つローグライクADV」のように、具体的な情報の方が記事に引用されやすくなります。
1リリース1ニュース 「リリース日決定」と「新トレーラー公開」を1本に詰め込むと、どちらの情報も薄まります。基本的には1つのニュースにつき1本が原則です。
画像・動画のリンクを必ず添付する 文章だけのプレスリリースは掲載見送りになりがちです。素材へのリンク(プレスキットへの導線)を必ず入れましょう。
配信タイミングは火〜木曜の午前中がおすすめ 配信時間だけで掲載の可否が決まるわけではありませんが、平日中盤の午前中は比較的チェックされやすいタイミングです。迷った場合は、この時間帯をひとつの目安にしてみるのもよいでしょう。
メディアへの送り方
プレスキットとプレスリリースが完成したら、実際に送る段階です。
- 送り先リストを作る:自分のゲームのジャンル・テイストに近い記事を書いているメディア・ライターを事前にリサーチしておく
- 件名で内容が分かるようにする:「【プレスリリース】〇〇 〇月〇日リリース決定」のように一目で判断できる件名に
- 本文は簡潔に:メール本文にプレスリリースの要約+プレスキットへのリンクを記載し、長文を貼り付けすぎない
- 個別の文面を一言添える:一斉送信感を出さず、「貴メディアの〇〇という記事を拝見し」など、相手を見て送っている印象を持たせる
まとめ
プレスキットとプレスリリースは、ゲームそのものの完成度とは別軸で「届く確率」を上げるための準備です。特に個人・小規模開発の場合、広報に割けるリソースは限られているからこそ、一度型を作っておけば使い回せるこの2つを早い段階で整備しておくと、その後の情報発信がぐっと進めやすくなります。
リリース直前になって慌てて素材を集めるよりも、開発中からスクリーンショットや紹介文を少しずつ整理しておくと、プレスキットやプレスリリースもスムーズに準備できます。
