7月29日にSteamでリリースした『DEBRISVERSE』、初月に売り上げ1000本を達成しました。
1000本って、プレイヤーからしたら「たったそれだけ?」と思われる数字ですよね。 だけど一度でもSteamでゲームを販売したことがある開発者の方なら、この数字がそこまで低いものではない、と感じられるかと思います。
本記事は、そんな開発者の方へ本作で得たノウハウを共有するために書いたものです。
X(旧Twitter)を眺めていると、目に入るのは「ウィッシュリスト10万超え!」「売り上げ〇万本突破!」という大ヒットの話か、逆に「全く売れなかった」という両極端な話ばかりではないでしょうか。
資金力のない個人開発者が大ヒットを飛ばすには、少なからず「運」も必要です。「もう少し自分にも目指せそうな、リアルな成果やプロセスの話が知りたい」———そう感じている開発者の方も多いはず。
そこで今回は、本作の「リアルな売り上げデータ」と「やってよかったこと・失敗したこと」を公開します。少しでも他のインディー開発者さんの参考になれば幸いです。
まずは『DEBRISVERSE』の具体的な数字から。
※記事執筆時点のWLは1,641件
ウィッシュリスト12という絶望的なスタートを切った本作でしたが、リリースまでに1,220まで伸ばし、初月1,000本達成という、自分の中では胸を張れる結果を残せました。まず、この数字に辿り着くまでにやったこと・やらなかったことをお話しします。
具体的に何がWL増加に一番効いたのか。「Webメディアへの記事掲載」が圧倒的でした。
グラフが崖のように跳ね上がっているポイントがありますが、主な流入経路は以下の通りです。
特に「AUTOMATON」様と「Game*Spark」様に「リリース日決定」の記事を掲載していただけたタイミングで、WLが爆発的に伸びました。
意外と無視できないのがパーソナルカレンダーです。特別な外部からの流入や露出はありませんでしたが、一週間で200くらい増えました。
マーケティング手法として「プレスリリースを送ろう」とよく言われますが、実際に掲載される確率は高くありません。「送っても取り上げてもらえない」「どうせ運が良かっただけ」と思われがちです。
ですが、本作はSNSフォロワー2桁・開発期間半年・イベント参加歴なしという、正真正銘の無名ゲームでした。特にXで話題になったわけでもない、WLが3桁前半のゲームでも記事化してもらえるチャンスはあるということです。ここからがポイントなんですが、各メディアに何度もプレスリリースを送ったものの、実際に記事化してもらえたのは各メディア1回だけです。これは推測ですが、初回の記事で期待されたPVを得られず、「このゲームはうちの読者向けでないな」と判断されたのかなと思います。私ならそうする。
でも初回はそんなのわからないですからね。とりあえず一回でも掲載してもらえたら勝ちです。
実際に送ったプレスリリースのタイトルはこちら
「プレスリリースの書き方」みたいなテンプレートもありますが、ただ情報を穴埋めするだけでは、毎日膨大なプレスを受け取っている記者の方に届きません。
この辺りを意識したタイトル作りをしました。他にも送信タイミングだったり、記事に使う画像を選別したり、すぐに使えるプレスキットを用意したり、とにかくプレスリリースの準備に時間をかけました。
こんな感じで、どうしたら記者の方に見てもらえるか?もっとよいタイトルはないのか?をとことん追求しました。 プレスリリースって正解がないし、必ずしも努力が報われるとは限りませんが、得られるリターンはとても大きいです。今まで一度も掲載されたことがないという方は、タイトルや送信時期、プレスキットのまとめ方など、改善できる点はないか今一度振り返ってみることをおすすめします。
※本項で「記事化してもらえた」というのは「PR転載ではない」ものを指しています。 GameWith様を始めとして、プレスリリース(PR)を転載したページを作成してくださったメディア様は多数存在していますが、記者の方が書いた記事とは少し性質が違うように感じます。私はブクマしてたまに見返してニヤニヤしてます。ありがとうございます。
「NextフェスでWLが激増する」とよく言われますが、本作は「WL+40程度」の増加にとどまりました。
これは体験版のアクティブユーザー数です。 外部からの流入があった際に伸びているのと、あとやっぱりダントツなのはリリース日ですね。Nextフェス期間も普段のユーザー数に比べたら確実に増えてはいますが、「激増」というにはほど遠く、ただ参加して放置するだけで自動的に伸びるわけではない、ということがわかりました。
完全な自己満足なのですが、「いつかPR TIMESでプレスリリースを出してみたい!」という憧れがあったので、リリース日に合わせて配信してみました。 ゲーム名で検索した時にニュースサイトがずらっと並んでめちゃくちゃテンションが上がりましたが、そもそもゲーム名で検索してるのなんて私だけなので、購入に繋げるための施策が目的ならおすすめしません。
だってみんなSteamのゲーム探すとき、ヤフーニュースとか見る…?見ないでしょ…?(見てる人いたらすみません)
リリース後にも、売り上げが伸びる重要なタイミングがありました。
宇宙ゴミを破壊して借金返済を目指す''謎解き''インクリメンタル【DEBRISVERSE】 by しぇいキングずんだ 様
こちらの動画が配信されたのはローンチセールも終了し、日々の売り上げが低迷していた頃でしたが、一晩で約100本以上が購入され、WLも同様に100以上増えました。たまたま運良く相性の良い配信者さんに見つけていただいたという、本当にもうこれは完全に「運」です。ただ、配信者さんの存在は偉大だということを実感しました。ありがとうございます。
割と突っ込みどころのあるストーリーなので、ずんだもんとの相性が中々良いのかなと思いました。ずんだもんが可愛いし面白いので是非観てください!!一周目のエンディングまでプレイしてくださっています。
特に強調したいのが「レビュー10件」の壁です。こちらはストアページへの訪問回数グラフ。
レビューが10件を超えた直後、Steamのディスカバリーキューからの訪問者が急増しました。なんと前日の4倍です。Steamはリリース日が最も露出獲得のチャンスで、ストアビューは徐々に下がっていくのが普通なのですが、10件突破後にグっと上がりました。
規約違反となる対価付きレビュー依頼は厳禁ですが、「レビューをお願いします!」とSNSのフォロワーさんやファンに呼びかけられる環境を作っておくことは、極めて重要な戦略です。
私は友人がいないのでバグ修正や機能改修を爆速で実施し、Steamのイベントお知らせでパッチノートと共にレビューのお願いを呼びかけました。この後実際にレビューが増えたので、効果があったのかなと思います。
できる範囲の宣伝は一通り行いましたが、当然「効果が薄かったこと」や上手くいかなかったこともたくさんありました。
効果が薄かったこと
挑戦したものの不発・断念したこと
「もっと早く知っていれば……!」と後悔したポイントも共有します。
Steamには、「20%以上の割引でないとセール時にWL登録者へ通知メールが飛ばない」という仕様があります。 ローンチ時は原則通知が飛ぶので問題ありませんでしたが、落とし穴は「その後の大型セール」でした。
発売日に買ってくださったコアファンの方々を失望させたくないため、直後に割引率を20%へ上げるわけにはいきません。当面は10%割引を維持する予定ですが、その結果、次回の大型セールでWL通知メールを飛ばせない状態になってしまいました。
初期購入者への配慮と今後のセール通知効果を両立させるためにも、「最初からローンチ20%割引以上でスタートすべきだった」というのが最大の反省点です。
どんなゲームでも、ストア公開時点では平等に露出チャンスがあります。その時にクリックしたくなる魅力的なカプセル画像を用意できているかが、その後の露出機会を大きく左右します。 本作の場合、「とりあえず仮で設定しておいて、後でちゃんと作り込めばいいや」と思ったのが失敗でした。ストアページは「第一印象」を決める顔なので、最初から作り込むべきでした。
カプセル画像の遍歴
初期、なんのゲームかわからなすぎる。
最初の露出機会であるストア公開時にも、しっかりプレスリリースを打って初動のWLを獲得すべきでした。ストア公開準備で精いっぱいで、正直そこまで手が回らなかったです。 ストア公開時はプレスリリース掲載の大きなチャンスなので、ここはしっかりとプレスを打つべきだったと思います。
個人開発は「大ヒットか爆死か」で語られがちですが、「このくらいなら自分も達成できるかも……?」という現実的なモデルケースの参考になれば嬉しいです。
本作は英語対応しているにも関わらず、8割近くが日本からの購入で占められています。ですが、Steamでの日本ユーザーの割合はわずか3%ほど。今後英語圏への露出獲得を意識すれば、もっと本数を伸ばせそうです。
この辺りはまだ試せていないので、次回作で試してみたいです。 マーケティングに関しては色々と手探りで試行錯誤しつつ、ノウハウを蓄積している段階なので、まだまだやれることはたくさんあるな~!と思っています。 今回紹介しきれなかったデータ分析についての話も色々ありますが、長くなってしまったのでこの辺りで。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
フォローすると、開発ログや新作ゲームの公開が通知されます