ポノス財団のゲームクリエイター助成、令和8年度の募集を開始。最大100万円・11月30日締切、採択2件から見る応募のポイント
公益財団法人ポノス財団が、ゲームクリエイター向けの助成制度「PONOS助成制度」で令和8年度の募集を始めました。助成額は1件あたり最大100万円、締切は2026年11月30日です。この記事では、応募資格と対象経費を整理し、令和7年度に採択された2件の公開情報から、応募前に押さえておきたいポイントをまとめます。
公益財団法人ポノス財団は、コンピュータゲームを制作するゲームクリエイター向けの助成制度「PONOS助成制度」で、令和8年度の募集を2026年10月1日に開始。応募締切は11月30日です。
ポノス財団は、『にゃんこ大戦争』などで知られるポノスの辻子依旦 氏が理事長を務める財団で、2025年7月7日に設立。「ゲーム文化の振興を図り、文化的で豊かな社会の形成に寄与すること」を目的に掲げています。
制度の特徴
この制度は、次のような特徴を持っています。
- 応募作品の知的財産権に、財団は関与しない
- 助成を受けた人の進路にも、財団は関与しない
- 他の助成を受けていても応募できる
PONOS助成制度(令和8年度)の概要
応募資格
次の条件をすべて満たす必要があります。
- コンピュータゲームを制作していること(個人・グループ・団体は問わないが、営利企業は除く)
- ゲーム制作の経験が3年以上あること
- 応募締切日の時点で35歳以下であること(グループ・団体の場合は代表者の年齢で判断)
- 活動の状況と成果を、きちんと報告できること 令和8年度の募集要項では、営利企業は応募資格から除くと明記されています。後述のとおり令和7年度には株式会社の採択例もありますが、法人として応募を考えている場合は、事前に公式サイトのお問い合わせフォームで確認しておくと安心です。
複数年にわたる制作でも、1年ごとに区切れば何度でも申請できます。ただし、続けて受けられる助成は3回までです。
助成の対象になる経費・ならない経費
対象になるのは、プログラミング費・デザイン費・取材交通費など、活動に通常必要な経費です。一方、次のような費用は対象外とされています。
たとえば、外部のイラストレーターやサウンドクリエイターに作業をお願いする費用は、助成の対象になります。反対に、自分やメンバーの生活費・給料にあてることはできません。
応募に必要な書類
- 助成申請書(公式サイトからPDFまたはExcelをダウンロード)
- 履歴書(顔写真付き・様式は自由。グループ・団体は代表者のもの) 応募は公式サイトの応募フォームから行ないます。問い合わせもフォームのみで、電話では受け付けていません。
選考は財団の選考委員会が行ない、理事会で採択を決めます。
結果は採択・不採択どちらの場合も書面で届きます。なお、選考の経過や決定理由は公開されません。書類に重要な不備があると選考の対象から外れるため、提出前に見直しておきましょう。
令和7年度に採択された2件
財団は2026年2月25日に、令和7年度の助成実績を公開しています。採択されたのは次の2件です。
NyctoType
タイピングで駒を動かして戦う、対戦型のストラテジーゲーム。チェス盤のような盤面で、タイピングの課題をこなすことで駒の移動・生成・スキル発動を行ない、相手の体力をゼロにすると勝ちになります。 Steamでデモ版が公開されており、オンライン対戦にも対応しています。東京ゲームショウ2026にも出展しました。
また、TGCA(Top Game Creators Academy)の助成プログラム第1期のプロジェクトとしても開発されています。
Spell Fragments
魔法を自分で組み立てて戦う、ローグライクのTPS。「トリガー(発動条件)」「スペル(効果)」「オプション(性能の調整)」の3種類の欠片を組み合わせて魔法を作り、自動生成されるダンジョンを攻略します。オンライン協力プレイにも対応しています。
2025年にCAMPFIREで行ったクラウドファンディングでは、目標額200万円に対して約1,683万円(達成率841%)の支援を集めました。
採択2件から見える、応募前に押さえておきたい5つのポイント
財団は選考の理由を公開していません。ここからは、公開されている情報をもとにした編集部の見立てです。応募の準備にあたって参考にしてみてください。
1. 「この1年で何を作るか」を具体的に決める
採択された活動名は「NyctoTypeの大会用バージョン開発」「PC向けゲームSpell Fragmentsの開発」と、どちらも作るものがはっきりしています。
助成の対象になる活動期間は、2027年1月〜12月の1年間です。
長期の開発であっても、「この1年でどこまで作るか」を区切って計画を立てると、申請書にまとめやすくなります。NyctoTypeのように、すでにあるタイトルの「特定のバージョン」を対象にした採択例もあります。
2. 金額は「上限いっぱい」ではなく「必要な分を積み上げる」
R7-1の助成金額は412,416円で、上限の100万円ではありません。
端数まで細かい金額であることから、必要な経費を1つずつ積み上げて申請したものと考えられます。
対象になる経費とならない経費の線引きは決まっています。外注費や謝礼など、何にいくら使うのかを具体的に書き出しておくと、申請内容に説得力が出ます。
3. 開発途中のプロジェクトや、他の支援との併用もOK
2件とも、ゼロからの新規開発ではなく、すでに動いているプロジェクトです。
NyctoTypeはTGCAの支援も受けており、Spell Fragmentsはクラウドファンディングで資金を集めています。
この制度は、他の助成を受けていても応募できます。開発途中のプロジェクトや、ほかの支援を受けているプロジェクトでも、応募をためらう必要はありません。
4. 進み具合を「外から見える形」で示す
Steamページ、デモ版、イベントへの出展、クラウドファンディングの実績など、2件とも開発の進み具合を第三者が確かめられる材料を持っていました。
応募資格には「活動の状況と成果を適正に報告できること」も含まれています。開発ログやデモなど、進み具合を見せられるものを用意しておくと、申請書の裏づけになります。
GameWith Indieの開発ログ機能も、こうした記録づくりに活用できます。
5. 採択後の報告まで見据えて計画する
助成を受けた後は、活動の終了から1か月以内に完了報告書を出す必要があります。
計画を中止・変更したときは、すぐに届け出する必要があります。計画が大きく変わったり、書類に虚偽があったりした場合は、助成金の返還を求められることも。
実現できる範囲で計画を立てることも、大切なポイントです。
まとめ
PONOS助成制度は、知的財産権や進路に財団が関与しない点、他の助成と併用できる点が特徴の、個人やインディーの開発者にとって使いやすい制度です。
35歳以下で制作経験が3年以上という条件に当てはまる方は、11月30日の締切に向けて準備を進めてみてはいかがでしょうか。
応募の前に、公式サイトの募集要項と助成申請書を必ず確認しておきましょう。
