ずっと、そう思っていました。
けれど実際に完成してみると、私は最後の一歩を踏み出せなくなりました。
自分の作ったゲームを世に出すのが、急に怖くなってしまったのです。
誰にも遊んでもらえなかったらどうしよう。
酷評されたら、自分はどうなってしまうのだろう。
そんなことばかり考えているうちに、完成したゲームを約1年間、リリースできないまま放置してしまいました。
そのゲームが、7月30日に発売する 『Crazy Coin Poker』 です。
今回は、何度もゲーム作りに挫折してきた私が、ようやく完成させたゲームをなぜ世に出せなくなったのか。そして、約1年を経て、なぜリリースする決心がついたのかを書いてみようと思います。
私は、小学生のころからゲームが大好きでした。
遊ぶだけではなく、「自分でもゲームを作ってみたい」と思い、当時からゲーム作りに足を踏み入れたことがあります。
とはいえ、当然ながら小学生の自分にとって、ゲーム開発はあまりにも難解なものでした。
何をどうすれば画面の中のキャラクターが動くのか。
どうすれば自分の考えたルールをゲームとして形にできるのか。
分からないことばかりで、手も足も出ませんでした。
結局、ほとんど何も作れないまま、すぐに挫折してしまったことを覚えています。
それでも、「ゲームを作りたい」という気持ちまで消えたわけではありませんでした。
小学生から中学生になり、高校生になり、大学生になりました。
年齢を重ねても、ゲームを作りたいという熱は冷めませんでした。
ときどき思い出したようにプログラミングを勉強し、ゲーム開発に挑戦してみる。
けれど、やはり難しく、思うようなものを作れない。
そして、また挫折する。
そんなことを何度も繰り返してきました。
最初はやる気に満ちていても、分からないことにぶつかるたびに手が止まります。
調べても理解できず、ようやく一つ解決したと思えば、次の問題が出てくる。
頭の中には「こんなゲームを作りたい」というイメージがあるのに、それを形にするだけの知識も技術もない。
その差が苦しくて、いつの間にか開発から離れてしまう。
それでも、しばらく時間が経つと、また作りたくなるのです。
やがて、私は社会人になりました。
当然ですが、学生のころよりも自由に使える時間は少なくなりました。
仕事を終えて家に帰ると、もう疲れている。
休日には休みたいし、ほかにやらなければならないこともある。
ゲーム作りに専念できる時間は、なかなか確保できませんでした。
それでも、「いつか自分のゲームを完成させたい」という思いは、なくなりませんでした。
年に一度くらいの頻度で、ふとゲーム開発に着手する。
今度こそは完成させようと思う。
けれど、やはり途中で行き詰まり、完成しないまま終わってしまう。
そんな挫折を、社会人になってからも繰り返してきました。
何度も挑戦して、何度も諦めました。
それでも完全にやめることができなかったのは、心のどこかでずっと「ゲームを作りたい」と思い続けていたからだと思います。
そして、社会人になって早くも8年。
昨年、私は数百時間をかけて、ついに一つのゲームを完成させることができました。
それが、 『Crazy Coin Poker』 です。
小学生のころから何度も憧れ、挑戦しては挫折してきたゲーム作り。
その長い時間を経て、ようやく「完成した」と言えるものを作ることができました。
完成した瞬間は、もちろんうれしかったです。
これまで何度も途中で投げ出してきた自分が、初めて最後まで作り切ることができた。
「ようやくここまで来たんだ」
そんな達成感がありました。
Steamでゲームを販売するために、まず約1万円を支払ってアカウントを開設しました。
さらに約1万円を支払ってゲームを登録し、Steamのストアページも作成しました。
必要な準備を一つずつ進め、残すところはリリースだけ。
あとはボタンを押して、自分のゲームを世に送り出す。
そこまで来たところで、私は急に怖くなってしまいました。
ゲームを完成させるまでは、「完成させること」だけを考えていました。
分からないことを調べて、不具合を直して、足りない部分を作る。
少しずつでも進めていけば、いつかは完成に近づいていきます。
けれど、完成したゲームをリリースすれば、その先にいるのは自分ではありません。
実際に遊んでくれる人たちです。
自分の手を離れたゲームが、どのように受け止められるのか。
それは、私には決められません。
もし、このゲームが誰にも触れられなかったら。
誰にも見つけてもらえず、遊んでもらえず、何の反応もないまま終わってしまったら。
あるいは、誰かに遊んでもらえたとしても、酷評されてしまったら。
「つまらない」
「買う価値がない」
「時間の無駄だった」
そんな言葉を受け取ることになったら、自分はどうなってしまうのだろう。
それを考えると、どうしてもリリースに踏み切れませんでした。
もちろん、自分の作ったゲームを否定されるのは怖いです。
けれど、本当に怖かったのは、それだけではありません。
このゲームには、数百時間という開発時間だけではなく、小学生のころから積み重なってきた思いが込められています。
「いつかゲームを作りたい」
そう思い始めてから、何度も挑戦し、何度も挫折しました。
長い時間をかけても捨てられず、少しずつ熟成されてきた感情です。
むしろ、あまりにも長く抱え続けてきたせいで、少し拗れてしまった感情と呼んだほうが正しいのかもしれません。
ゲーム作りは、私にとって単なる趣味以上のものになっていました。
だからこそ、怖かったのです。
もし、これまで抱えてきたものをすべて出し尽くしたあとに、何も得られなかったら。
自分の中に残るのは、燃えカスのようなものだけなのではないか。
ゲームが売れないことよりも、評価されないことよりも、その結果によって、自分自身のゲーム作りへの思いが消えてしまうことが怖かった。
小学生のころから持ち続けてきた、あの熱い気持ちまでなくなってしまうのではないか。
そう考えると、ゲームをリリースすることをためらってしまいました。
完成させたのに、出せない。
Steamのストアページまで作ったのに、最後の一歩を踏み出せない。
そして気づけば、そのまま約1年が過ぎていました。
完成から約1年。
私はようやく、ゲームをリリースする決心をつけることができました。
何か特別な自信を得たわけではありません。
絶対に売れるという確信が生まれたわけでもありません。
酷評されても平気だと思えるほど、強くなったわけでもありません。
今でも、やはり怖いです。
それでもリリースしようと思えたのは、自分がなぜゲームを作りたかったのか、その原点を思い出したからです。
私は、なぜ小学生のころからゲームを作りたかったのか。
それは、誰かに遊んでもらいたかったからです。
自分が考えたもので誰かに楽しんでもらい、喜んでもらいたかった。
とても単純な理由でした。
小学生のころ、自由帳に迷路を書いて、友達に遊んでもらったことがあります。
今のようにプログラミングをするわけでもなく、特別な道具を使うわけでもありません。
ただ紙に迷路を書き、それを友達に渡して遊んでもらう。
友達が迷路を進み、迷ったり、ゴールを見つけたりする様子を見る。
それだけで、私はうれしかったのだと思います。
何人に遊んでもらえたか。
どれだけ高い評価を得られたか。
どれだけお金になったか。
そんなことは考えていませんでした。
目の前にいる誰かが、自分の作ったもので遊んでくれた。
その事実だけで十分でした。
だったら、今回も同じでいいのではないかと思いました。
大勢の人に遊んでもらえなくてもいい。
たった一人でも、自分のゲームを見つけてくれる人がいる。
その人が『Crazy Coin Poker』を遊び、少しでも「楽しかった」と思ってくれる。
そんな人が一人でもいてくれたら、それでいいじゃないか。
そう考えたとき、ようやくリリースに向き合うことができました。
もう一つ、考え方を変えたことがあります。
もしレビューなどで否定的な評価を受けたとしても、これは私にとって初めてのゲームリリースです。
最初から完璧なものを作れるはずがありません。
もちろん、お金をいただいて販売する以上、「初めてだから仕方がない」と甘えるつもりはありません。
今の自分にできることは、できる限り詰め込んだつもりです。
それでも、初めてだからこそ、足りない部分は必ずあると思います。
実際に遊んでもらわなければ気づけない問題もあるでしょう。
自分では面白いと思っていた部分が、ほかの人には伝わらないこともあるでしょう。
それで否定されたとしても、そこで終わりにしなければいい。
悔しい評価を受けたなら、その悔しさを次のゲームに持っていけばいい。
今回できなかったことを、次回はできるようになればいい。
今回足りなかったものを、次回は身につければいい。
そして次の作品で成長した姿を見せて、見返してやればいい。
そう思うことにしました。
……とはいえ、実際に否定的な言葉を受け取ったとき、本当に立ち直れるかどうかは、正直なところ自信がありません。
きっと落ち込むと思います。
想像している以上に傷つくかもしれません。
それでも、その不安だけを理由に、完成したゲームを誰にも遊んでもらえないまま終わらせることは、もっと嫌だと思いました。
よく「やらない後悔より、やる後悔」と言います。
自分が本当にその言葉どおりに行動できる人間なのかは分かりません。
それでも今回は、当たって砕けてみようと思います(笑)。
売れるかどうかは分かりません。
多くの人に遊んでもらえるかどうかも分かりません。
どのような評価を受けるのかも分かりません。
もしかすると、ほとんど誰にも気づかれずに終わってしまうかもしれません。
それでも、リリースしなければ可能性はゼロのままです。
誰か一人に楽しんでもらえる可能性も、次の作品につながる可能性も、自分が成長できる可能性も生まれません。
完成させたゲームを自分の手元に置いたままにするのではなく、怖くても外の世界へ送り出してみる。
それが、小学生のころから何度も挫折しながらゲーム作りを続けてきた自分にとって、必要な一歩なのだと思います。
長い間、ゲームを作りたいと思い続けてきました。
何度も挑戦し、何度も挫折しました。
社会人になり、使える時間が少なくなっても諦めきれず、昨年ようやく数百時間をかけて完成させました。
それなのに、リリースするのが怖くなり、約1年間も立ち止まってしまいました。
今も、怖くないと言えば嘘になります。
それでも、自分がゲームを作り始めた理由を忘れないために。
そして、たった一人でも、このゲームを遊んで楽しんでくれる人と出会うために。
7月30日、『Crazy Coin Poker』をリリースします。
もし今、自分の作ったゲームや作品を公開するのが怖くて、最後の一歩を踏み出せずにいる人がいたら。
その気持ちは、決しておかしなものではないと思います。
時間をかけた作品だからこそ、否定されるのが怖い。
大切な思いを込めた作品だからこそ、誰にも見てもらえないことが怖い。
公開した結果、自分の中にあった情熱まで消えてしまうのではないかと不安になる。
少なくとも、私はそうでした。
そして今も、その恐怖を完全に乗り越えられたわけではありません。
ただ、作品を出さなければ、自分の作ったもので誰かに楽しんでもらうこともできません。
一人でも楽しんでくれる人がいれば、それでいい。
もし否定されたら、悔しさを次の作品につなげればいい。
そんなふうに考えながら、私は一歩を踏み出してみることにしました。
私と同じ気持ちを抱えている人が一人でもいるなら、この記事が、その人の背中をほんの少しでも押すものになれば幸いです。

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