ノベルゲームは文字と一枚絵だけで作れる。
『ループシンドローム ~ループで壊れた医者の一例~』の制作を始めた当初は、そんなふうに思っていました。
しかし、人の欲望というのは底知れぬもので、東京ゲームダンジョン12でさまざまな作品に触れていると、「自分の作品にも声優さんの声を入れたい」と思うようになりました。とはいえ、こちとら声優さんの知り合いもいなければ、依頼の相場も分かりません。人見知りな性格もあって、なかなか最初の一歩を踏み出せずにいました。
そんなとき、「声優さんへの依頼ってどうやるんだろう」と何気なくXへ投稿したところ、多くの方から暖かいリプライをいただきました。
本当に有難い反面、それは「やるか、やらないか」を決める瞬間でもありました。アクセルを踏むのか、それとも今回は見送るのか。
今思えば、皆さんに背中を押していただいたのだと思います。そのおかげで、勇気を出して依頼する決心がつきました。
自分が思い描いていたキャラクターに、理想だと思った声優さんの声が宿る。それは、本当に幸せな体験でした。
「キャラクターに命を吹き込む」という表現がありますが、以前は何となく理解したつもりでいました。しかし実際に、キャラクターが「作り物」から「生きている存在」へと変わる瞬間を目の当たりにすると、その言葉の意味を心から実感しました。
特に印象に残っているのは、物語の核となる重要なセリフです。もちろん、「この人なら自分の想像を超えてくれる」と期待して依頼しました。そして、その期待は見事に応えてくださいました。 セリフの間の取り方、抑揚、感情の込め方。自分では思いつかない表現が次々と生まれ、「やっぱりこの人にお願いして良かった」と心から思いました。鳥肌が立った、というよりは、「予告ホームランを、本当にホームランにしてくれた」という感覚の方が近いかもしれません。
また、今回ご縁のあった声優さんはもちろんですが、応募してくださった皆さんのボイスサンプルを一つひとつ聴く時間も、とても贅沢で幸せな時間でした。
ゲームは一人でも作れます。
でも、作品が本当に良くなる瞬間は、自分以外の誰かが力を貸してくれたときなのだと思います。 自分が考えたストーリーを、自分が理想だと思った声優さんが演じ、その演技によって、自分だけではたどり着けなかったキャラクターが生まれる。
ゲーム制作者として、これ以上の喜びはありません。
そして今回、改めて思いました。勇気を出して一歩踏み出すことは、本当に大切なんだと。
あのとき背中を押してくださった皆さん、応募してくださった皆さん、そして作品に命を吹き込んでくださった声優さんに、心から感謝しています。
また次のノベルゲームでも、そんな素敵なご縁に恵まれることを願っています。
公式PV
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