「やっちまった」
切った直後、そう思いました。
机に置いた左手を見ると、中指から血が流れていました。血の量は思っていたより多い。
それなのに、切った直後の私は、怖がるどころか妙に興奮していました。今思えば、アドレナリンが出ていたのだと思います。
けれど、時間がたつにつれて興奮は引き、徐々に冷静になっていきました。
それと入れ替わるように痛みが強くなり、やがて体までふらつき始める……。
大丈夫か、これ。
そこでようやく、怖くなりました。
こんにちは。「ゲンマン」です。個人で『FFFF : Fatal Five Finger Fillet』というゲームを開発しています。
キーボードに四本の指を置き、その間にあるキーを順番に押していく、デスゲーム風のローグライクです。
指を置いたキーを間違えて押せば、ゲーム内でその指を失います。
そして開発者の私は、ゲームの外で本当に失敗してしまいました。
もっとも、「指を失いかけた」はちょっと盛りました。手当ては絆創膏で済みました。ただ、今も左手の中指には、ごく薄い傷が残っています。
『FFFF』の元になったのは、机に広げた手の指の間をナイフで順番に突く、ナイフフィンガーフィレットという危険な遊びです。 『Red Dead Redemption 2』のミニゲームでご存じの方もいるかもしれません。
アルファ版を作っていた頃、資料と撮影のために本物のナイフを一本、Amazonでぽちりました。
木の柄に、銀色の刃。届いた実物は、正直、かなり格好よかった。
意味もなく刃を開き、閉じ、また開く。手の中でクルクル回してみる。
どう見ても厨二病です。本当にありがとうございました。
それでも当時の私は、妙に真剣だったのです。 一回マジでやらなければ、このゲームを作る資格はない。そんな考えに支配されていました。
机に左手を広げ、右手にナイフを持ちました。
結果は冒頭のとおり、中指を切りました。
ナイフフィンガーフィレットは、現実では絶対にやらないでください。
やるなら『FFFF』でお願いします。 体験版を近日配信予定です!

我ながら、おそろしく自然な宣伝。 見逃さないでウィッシュリストに追加してくれると泣いて喜びます。
現実で切った指は、普通に痛かったです。それでも直後だけは、恐怖よりアドレナリンが勝っていました。「切るな、切るな」と張り詰めていた緊張が、切断によって強制的に終わったからだと思います。
しかし、そのあとに待っていたのは、痛みと不安でした。
ゲームへ持ち込みたかったのは、その前にあった一瞬の解放感です。
一言で言うと、私は『FFFF』で、「指の切断が気持ちいい」を目指しました。
文字にすると、かなり危ない開発方針です。
ナイフフィンガーフィレットで一番盛り上がるのは、ナイフが指に当たった瞬間です。だから切断時には、血のエフェクト、効果音、カメラの揺れ、赤く染まる画面を一気に重ねました。
張り詰めた緊張を、血と音と揺れで吹き飛ばす。痛みより、緊張が切れる感覚を気持ちよくしています。
『FFFF』では、四本の指それぞれに指輪を装備できます。しかし指を失うと、その指の指輪も外れ、次のショップまで使えなくなります。
スコアの要だった指輪を失っても、制限時間は止まりません。残った指だけで続けることになり、大いに焦ります。
それでも、どうにか目標スコアへ届いて生き残れたときは、アドレナリンが止まりません!
この仕組みによって、「どの指にどの指輪を装備するか」という戦略も生まれました。
切断を一度きりの失敗にしないため、指は比較的簡単に回復できます。
現実の私は絆創膏で手当てをしましたが、ゲームの「包帯」はもっと高性能です。失った指が一本、生えてきます。
切れた指が包帯で戻るのはおかしい? 俺のゲームでは戻るんだよ!
現実の「やっちまった」は、短い興奮のあと、痛みと不安に変わりました。
『FFFF』では、その高揚を、切断演出、指輪の発動、そして次の回復へつなげています。
現実ではただの怪我ですが、ゲームでは、一番気持ちいい瞬間です。
ぜひ『FFFF』で、気持ちよく「やっちまった」を体験してください。