今回は、現在公開しているキービジュアルがどういう流れでできていったのか、制作途中の画像を交えながらご紹介します。
(前回、次回は音声まわりのお話と記載しましたが予定を変更しましてキービジュアルの話をお送りします)
完成した1枚だけを見ると最初からこの形に見えるかもしれませんが、実際にはかなり手探りで作っていました。
このあたりを探りながら、少しずつ形にしていった感じです。
今回は、
0 レイアウト案 → 1 ラフ → 2 試し塗 → 3 背景合わせ → 4 キャラ塗り → 5 完成
の順で見ていきます。
最初はかなりざっくりしたところから始めています。
キービジュアルなので、まず考えたのは
「何が一番印象に残る絵にするか」
という部分でした。
『異界ノ宿帳』は温泉宿が舞台のホラー作品ですが、ただ暗い背景を出すだけだと、ゲームの顔としては少し弱い。
逆にキャラクターだけを大きく見せると、今度は作品の空気が薄くなってしまいます。
その中で最初に軸にしたのが、
の3つでした。
この段階では、立たせる案だけではなく、少し座らせた構図のような別案も出していて、「どの構図が一番“異界ノ宿帳らしいか”」を見ながら探っていました。
キービジュアルは、単に綺麗な絵というより一目見たときに“この子とこの灯りの絵”として覚えてもらえるかが大事なので、まずはそこを探る工程でした。
レイアウトがある程度固まった後は、ラフで絵の方向をもう少し具体的にしていきました。
線を整える工程もここで行っています
ヒナの表情も、強く睨むというよりは、静かで、感情を抑えたままこちらを見ている感じを意識していました。
ここは本作らしさとしてかなり大事にしたい部分でした。
次は試し塗りです。
ここでは主に、
ヒナの色の印象をどこに置くか
を確認していました。
ヒナは白い髪、淡い肌、赤い目という配色が印象的ですが、
背景や彼岸花も赤が強くなる想定だったので、単純に全部を強くすると、絵全体がうるさくなってしまいます。
そのため、この段階では
を少しずつ見ていきました。
このゲームの絵作りでは、
“赤い”こと自体よりも、“赤が静かに怖い”こと
の方が大事だと思っています。
派手な恐怖ではなく、じわっと不穏な感じ。
その空気を作るために、試し塗りの段階ではかなり慎重にバランスを探っていました。
キャラクターの方向が見えたところで、背景と合わせていきます。
ここでかなり作品の空気が決まってきました。
背景に入っているのは、宿の建物をベースにした赤い空間です。
ここで足していったのが、彼岸花のモチーフです。
彼岸花は、和の雰囲気があるだけでなく、
「綺麗だけど少し怖い」
「こちら側と向こう側の境目っぽい」
という印象があって、『異界ノ宿帳』の空気にかなり合っていました。
ヒナが持つ灯りと、足元から広がる彼岸花。
この2つを置くことで、ただキャラクターが立っているだけではなく、
“異界の入口に立っている感じ”
が出せるのではないかと考えていました。
ヒナの表情も、強く睨むというよりは、静かで、感情を抑えたままこちらを見ている感じを意識していました。
ここは本作らしさとしてかなり大事にしたい部分でした。
この工程では、ヒナ単体で見たときには成立していた絵が、背景と一緒になることで埋もれてしまわないかも確認しています。
キービジュアルは、Steamのカプセルやサムネイルなど、比較的小さいサイズで見られることも多いので、
遠目でもヒナと灯りがちゃんと目に入るか
はかなり大事でした。
背景が入ったあと、改めてキャラクターをしっかり塗り込んでいきます。
この段階で、色を塗ることでかなり印象が変わっています。
白ベースの状態から、黒を中心にした衣装へ仕上げることで、赤い背景や彼岸花との相性がぐっと良くなりました。
ただ可愛く見せるだけではなく、
少し凛としていて、少し距離があって、それでいて目を引く
というところを狙って塗っていきました。
灯りもこの段階でかなり重要になっていて、
顔の近くにある小さな光源として、ヒナの存在を支える役割を持たせています。
そして完成です。
最後は全体の光や空気感を調整して、キービジュアルとして仕上げています。
完成版では、
を足すことで、
ただ綺麗な1枚絵ではなく、“何かありそう”な空気を持った絵
になるようにしました。
『異界ノ宿帳』という作品は、温泉宿、付喪神、ケガレ、といった要素が中心にあります。
今回のキービジュアルも、そうした要素を説明的に並べるのではなく、
1枚の絵として見たときに
と思ってもらえることを目標にしています。
制作途中を見返すと、最初はかなりシンプルなところから始まっていて、 少しずつ「異界ノ宿帳らしさ」が積み上がっていったのが分かります。
こういう工程を見ると、完成絵とはまた違った面白さがある気がします。
今後も、こうした制作途中の話を少しずつお見せできればと思っています。
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