東京から来た刑事として流氷の町に着いて、さて誰に何を聞こうか、と迷う一瞬があります。 『霧走町 流氷に眠る』の操作は、いつもその小さな迷いから始まります。 今回は、最初の一問を打って返事を読むまでを、画面の順に追っていきます。
長い文章や、正解の決まり文句を打たせる遊びではありません。 そこも、実際に打った例と返ってきた台詞で見てもらえればと思います。
最初に選ぶのは、行き先です。 序盤は、港と船小屋、食堂「番屋」、宿「潮見荘」、駐在所、防波堤、岬の高台の六か所。 最初から、どこへでも行けて、回る順番も決まっていません。
場所を選ぶと背景の絵が変わり、その場所の様子を描いた短い地の文が出ます。 番屋なら、湯気とだしの匂いのする店の中。 港なら、凍りついた係留索と、船小屋の陰で網を繕う男。 そこに誰がいて何をしているかも、入ったときの地の文で分かるようになっています。
行き先が決まったら、次に、その場で話す相手を選びます。 その場にいる人の名前が並ぶので、話したい一人を選ぶだけです。 画面の上には、いまいる場所と、話している相手の名前がいつも出ています。
質問のたびに相手の名前を書く必要はありません。 「あなたは」と打てば、それは画面の上に名前が出ている、選んだ相手のことです。 毎回の文を短くできるように、相手を先に決めておく形にしました。
同じ場所でも、昼と夜で、いる人といない人が入れ替わります。 その場にいない人には、名前が並ばないので話しかけられません。 その人の話を聞きたければ、その人がいる時間にもう一度来ることになります。
相手を選んだら、画面の下の入力欄に一文を打ちます。 港の漁師、佐伯に事件の夜のことを聞くなら、こうです。
事件が起きた夜、あなたは何時までどこにいましたか
助詞や敬語を削って、短くしても構いません。
昨日の夜はどこにいた
どちらでも、同じ証言に届きます。 丁寧語で書く必要も、決まった命令の形に揃える必要もありません。 聞きたいことが一つ、はっきり入っていれば、それで足ります。
日本語入力は、いつものように変換して、確定してから、送る。 普段メールやメッセージを書くときと、同じ打ち方です。
入力欄から送ると、相手の返事が画面の会話の欄に出ます。 佐伯の返事は、こうです。
「十五日の夜なら、10時まで番屋で飲んどった。それだけだ」
会話の欄には、相手の返事だけでなく、自分が打った一文も残ります。 何を聞いて、何が返ってきたか。 あとからその組で読み返せるように、履歴に順番どおり並べています。
返事がまとまった長さのときは、クリックで少しずつ送って読みます。 読み終えると、また入力欄に戻って、次の一文を打てるようになります。
返事の中に捜査の材料になる話があると、捜査手帳に一行が残ります。
佐伯「十五日の夜は10時まで番屋で飲んでいた」
誰から、どこで聞いた話かも一緒に残ります。 時刻や人名を全部覚えておかなくても、手帳を開けばいつでも読み返せる。 あとで別の人から同じ夜の話を聞いたときに、並べて比べるためのものです。
全部の返事が手帳に残るわけではありません。 残るのは、事件に関わる材料になる証言や、現場で見たことだけです。
最初の一問が、いきなり事件のことである必要はありません。 宿の主人の源三に、こう聞いてもいい。
飯は何時からだい
「風呂は十一時まで、飯は七時からだよ」 「寒けりゃ言っとくれ。布団はいくらでもあるでね」
番屋のハルに、今日の魚を聞いてもいい。
今日の魚は何
「今日は鱈が入ってるよ。汁にすると身が甘くてねえ」
こういう事件と関係のない雑談は、手帳には残りません。 事件の捜査も、それで前へ進むわけではありません。 それでも、その人がこの町でどういう暮らしをしているかは、少し分かります。
打った一文が、用意した話題に少し届かないことがあります。 そのときは、相手のほうから確かめてきます。
「……事件の夜の居場所、そういう話か?」
「はい」と答えれば、その話として受け取られて会話が進みます。 「違う」と答えれば、一手ぶん前に戻るだけです。 聞き返されたこと自体を、失敗の扱いにはしていません。
何を聞かれたのか分からないときは、人物らしい言い方で聞き返されます。
「いつの話だ」
言い方を変えるか、相手を変えるか。 それを自分で考えるのも、町での聞き込みのうちです。
同じ夜のことを聞いても、相手が違えば返ってくる話は違います。 佐伯には佐伯の、番屋の女将には女将の、その夜の見え方があります。 最初の一問をどこの誰に向けるかで、手帳に残る最初の一行も変わります。
その人が知らない話を聞くと、知っていそうな人のところへ行けと言われることもあります。 町を知らない刑事にとっては、それも一つの道しるべです。
一問目の返事を読んだら、次に何を聞くかを考えます。 手帳を開いて、いま分かっていることを眺め直してもいいし、同じ相手に続けて聞いてもいい。 別の場所へ移って、同じ夜のことを別の人に聞いてみるのも一つの手です。 どれが正しい順番、というものは用意していません。 自分で選んだ順番で聞いた話は、自分で選んだぶんだけ気になって読むことになります。
このゲームの入力欄は、決まった命令を覚えるための欄ではありません。 刑事が目の前の相手に聞くつもりで、普通の日本語をそのまま打つ欄です。
とはいえ、何でも答えてくれるわけでもありません。 返事は、あらかじめ書かれた台詞の中から選ばれます。 その人が知らないことや、事件と関係の薄いことには、その人らしく受け流す返事が返ります。
「知らんな」
それでも、同じことを別の言い方で聞き直せば、届くことが多いはずです。 一文を打って、返事を読んで、次に誰へ何を聞くかを考える。 最初の一問は、その長い繰り返しの入口で、事件のどこから入るかを決める一手です。
この町が気になったら、Steamのウィッシュリストに入れておいてもらえるとうれしいです。
[[STEAM_LINK: https://store.steampowered.com/app/5287530/?utm_source=gamewith&utm_medium=devlog&utm_campaign=gamewith04&utm_content=08]]
フォローすると、開発ログや新作ゲームの公開が通知されます