サンイチのチームでは、メンバーと何時間もかけてディープに話し込む時間を取ることがままあります。1日4時間、6時間とぶっ続けで話すこともありますし、それが数週間続くこともあります。
何を話しているかというと、主に抽象的な内容です。この作品のテーマは何か。何をもって、このゲームを「良し」とするのか。そういう、作品の"根っこ"の話です。
今回は、なぜそこまでするのか、そして少人数のインディーチームにこそ、この時間が大事だと思う理由を書いてみます。
ゲームを作っていると、いろいろなアイデアが出てきます。
でも、アイデアの良し悪しは、アイデア単体では決められません。「このアイデアは面白いけど、この作品のテーマとは合わないよね」ということもあれば、「このテーマだからこそできる、突飛なアイデアって何だろう」と考えることもあります。
こういう話をするには、その根っこにある「この作品のテーマは何か」「何をやりたいのか」を、深いところまで共有している必要があります。
ゲームは、文脈がどこまでも深くできてしまいます。だから、この認識をそろえるのは本当に大変。でも同時に、すごく大事なことです。
理想を言えば、合宿をして、三日三晩顔を突き合わせて議論できるといいのだと思います。
それが難しくても、何時間も時間を作って、「これについては、こう考えている」「私は、これはこうだと思う」と、深いところで話し合う。時には意見が対立して議論をする。そうやって相互理解を深めていくことが、すごく大事だと思っています。
例えば、サンイチはノベルゲームなので、シナリオとゲームシステムとテーマが密接に絡んでいます。また、このゲームを誰にどう届けるかも、テーマと一致していないと、プレイヤーの期待や届ける相手がずれてしまいます。
なので、シナリオの面でも、このゲームをどう届けるかの面でも、「何をもってこのゲームを良しとするのか」という価値観のすり合わせを、何度もやってきました。ちなみにサンイチの場合、今その根っこにあるのは「アイデアのバタフライエフェクト」というテーマです。
正直、何時間も話し続けるとお互いへとへとになります。付き合ってくれるメンバーには、本当に頭が下がる思いです。
それでも、ちゃんとやると、そこからすごく一緒に働きやすくなるんです。
作品の深い部分について共通認識が取れるので、より深いところで相談できるようになります。任せられる範囲も増えます。
大変だけど、惜しまずにちゃんとやらないといけない作業なんだな、と改めてしみじみ感じています。
インディーゲームの開発は、ベンチャー企業に似ていて、メンバーひとりひとりの裁量が大きくなりがちです。細かく指示を出し合うより、それぞれが自分で判断して進める場面が多い。
だからこそ、それぞれが適切な判断を下せるように、前提となる情報をがっつり合わせておくことが重要だと思っています。
また、インディーゲームは、尖った作品が強いと思っています。言い換えれば、テーマが明確なものが強い。
だから、メンバーがテーマを理解しテーマに対してコミットをしてもらえる環境ができると、ブレずに開発が回ります。
さらには「このゲームだから、このテーマだから参加したい」と思ってもらえる方と巡り合えるかどうか。このような方は本当に、チームにとっての大切な財産になります。これも、ベンチャー企業と似ているところだと思います。
幸い、サンイチはメンバーにとても恵まれていると感じます。一緒に開発してくださっている方々には、本当に感謝しかありません。
サンイチは、特にテーマ性がしっかりある作品です。膝を突き合わせて話し込めたことは、今後に向けた大きな蓄積になると思っています。
もしチームで開発していて、メンバーとの認識のずれを感じることがあれば、一度勇気を出して、作品の"根っこ"を話し込む時間を取ってみるのはいかがでしょうか。
『三位一体の単一点』は、チームサンイチが開発中のSF群像劇ノベルゲームです。
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