ゲームを開発する上で、多くの開発者がそれぞれ核となるテーマを持って作品に臨んでいると思います。今回は、私が作る全てのゲームに共通する一つのテーマについてお話しします。
今でこそネットを通じて世界中のだれとでもゲームプレイが共有できる世の中になりましたが、ほんの一昔前(二昔前?)はローカル、つまりリアルで子供たちが集まってゲームを遊ぶというのが主流でした。
私もご多分に漏れず、学校が終わったと同時にカバンを家に放り投げ、毎日のように自転車で友達の家に行ってゲームをしていました。
以前の記事でも書きましたが、私の子供の頃のゲームは、難しい上に攻略情報もほぼ口コミのみ、大人でもクリアできないと言われたゲームを小さい子供がプレイするわけですから、当然苦戦しまくるわけです。
あーだこーだ言いながら、何度も失敗して、その場の全員が初見のステージを知恵を絞ってクリアしていったわけです。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
当時のゲームは今のゲームと違い、「プレイヤーに配慮する」という概念がありません。
それでもその時間が今でも「楽しかったな」と思えるのは、ゲームが楽しいというよりも(もちろんゲームは楽しいですが)、「同じ方向を向いた仲間が、同じ場所に集まってゲームに向き合う時間」が最高に楽しかったのだと思うのです。
私が作るゲームは全て、この「最高に楽しい時間ををいかに生み出すか」という点を最大かつ唯一のテーマとして開発しています。あの頃、友達の家で体験した、難関を一緒に乗り越える熱量を再現したいのです。その思いは初代「伝説のギリジャン地獄」から最新作「ギリJumpスターラッシュ」まで全く変わることはありません。
私はアクションが好きなのでたまたまアクションゲームを作っていますが、それは結果論です。あの楽しかった時間を再現するためにどんなゲームを作ろうかと考えるのが私のゲームの作り方であり、それはどんなゲームジャンルでもよかったのです。
その結果私は、どちらかというとかなり難めのゲームを作ることが多くなるのですが、これは単にプレイヤーを苦しめたいわけでも、意地悪な初見殺しを作りたいわけでもありません。本当に作りたいのは、「うわっ、難しい!でもこれ、もう少しでいけるかも!?」と身を乗り出してしまうような、あの独特の緊張感と達成感です。
理不尽な難しさではなく、何度も挑戦したくなる絶妙な歯ごたえ。それがあるからこそ、一人でプレイしても、誰かのプレイを隣で見ても、最高に盛り上がると思っています。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ただ私も大人になり、子供の時のように友達の家に気軽に行ってゲームをするなんていうことはできなくなってしまいました。
それはそれで残念なことではありますが、実はそんなに困ることはありません。 なぜなら、今でも同じようなことができる場所があるのです。
東京ゲームダンジョンを始めとするインディゲームイベントです。
試遊ブースに足を止めてくれた初対面のプレイヤーさんが、いつの間にか「そこ!」「ああ惜しい!」「これホントに飛べる?」と思わず口走り、クリアしなくても盛り上がり、クリアした瞬間にはガッツポーズが生まれる。その姿を見ていると、友達の家のリビングで友達と絶叫しながらプレイした光景が私の頭の中でよみがえるのです。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
多くのゲーム開発者が、イベントで「自分のゲームを広めたい」「少しでも多くの人に知ってもらいたい」と懸命に頑張っていらっしゃいます。もちろん、私もその気持ちは強く持っています。
ただそれと同時に、自分のブースに寄っていただいた方が、「ムズッ!でも昔はこんなんだったよね。」と言いながら楽しそうに何度もチャレンジをしていただけた時点で、実は私のゲーム開発の目的は達成されているのです。ちょっと甘い考えだとお叱りを受けるかもしれませんが、インディゲームというのは千差万別。どんな考え方でもよいはず。
私はこれからもそんなコンセプトでゲームを作っていきたいと思います。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
さあ、2026年12月8日の『ギリJumpスターラッシュ』発売に向けてラストスパートです! このゲームのリリースによって、世界中のさまざまな場所で、あの頃のような熱い時間が生まれることを願って、今日も精密な難易度調整にいそしみます。
あの頃の「放課後に遊んだ熱量」を準備して、皆様のプレイを心よりお待ちしています!
フォローすると、開発ログや新作ゲームの公開が通知されます