どうもはじめまして、宇佐城(うさぎ)の名で個人開発をしている者です。2016年頃からRPGツクールでゲーム制作を始めて、今まで一次創作・二次創作問わずいくつものフリーゲームを作ってきました。
ところが今から3年前、2023年9月に公開した『Zarie: The Story of Sin』というヴィジュアルノベルがsteamで主に海外からレビューを結構いただけて、もしかして次はsteamで販売用のゲームを売っても割とイケるんじゃないのか、インディーゲームクリエイターとしてやっていけるんじゃないかと思ってしまったんです(それは後に思い違いだとわかります)。
当時というか今も無職で、その時人生の文岐路に立っていたように思います。インディーゲームクリエイターに挑戦してそちらの道に進むか、あるいは社会復帰のために一般就労を目指すか。年齢的にも30代前半でしたし、ここらで決めておかなければなりませんでした。そこで自分はゲームを作る方を選んだんです。
最初のネタは割と早い段階で思いついていました。日本人なら歴史の授業で必ず習う源頼朝・源義仲・源義経の生まれ変わりの新聞部員の女の子達が、前世の因縁から殺し合いをする、そこで使われるのが入れ替わり人体模型や屋上の花子さんといった危険な学校の七不思議という筋書きがすんなりできて流行の「転生」の要素もあるしこれはウケるだろうって思ってしまったんです。
ここで何故登場人物が新聞部員かというと、七不思議を取材するという体で物語を始める導入のためでもありましたが、『Doki Doki Literature Club!』(DDLC)みたいな部活物が最初からやりたかったんですよね。実際に自分の高校時代の部活が新聞部でして、部活物をやるなら新聞部を題材にしたいと。いざ出来上がったものを見ると思ったより新聞部要素が多くなっていました。
鬼姫・旭・遮那のメインキャラ三人も最初期の段階でキャラは固まっていました。鬼姫はDDLCのモニカ的な優等生な部長としての顔と冷徹で猜疑心の強い頼朝としての顔を併せ持つ人物にして、ポニーテールにリボンというキャラクターデザインもモニカから影響を受けています。
旭は義仲が黒ギャルだったら面白いんじゃないかという意外性から考えた人物です。ただ自分がギャルキャラというものをよくわかっていないせいでリアルな不良っぽくなっているのと義仲を復讐者という解釈で描こうと思ったので結果的に怒っているシーンが多くなりました。
遮那は割と最初期から後輩眼鏡アルビノキャラだが前世がわかる鏡を見た後視力が良くなって眼鏡を外すということは決まっていました。前世がわかって態度が急変することや一番プレイヤー目線で葛藤が描かれるポジションなのも初期構想の段階からそうだったと思います。またプレイヤー目線だけでなく、作者的にも性格の近い人物を一人配置しておくことが物語を書きやすくするために必要でした。
初期構想では七不思議の内六つは思いついていたんですが最後の一つはぼんやりとしていましたし、梶原咲季や南条はおろか重要な人物である尼子朱鷺すらいませんでした。後半部分を思いついてなかったんです。それからノーマルエンド1をひとまず思いついたんですが、その頃『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』をプレイして色々着想を得て、ハッピーエンドを含むプロットがひとまず出来上がったのが2023年の12月頃だったと思います。
タイトル案も最初期の2023年10月時点では『新聞部員は転生源氏 白旗高校七不思議』でした。しかしこれもなろうタイトルっぽいし『源氏転生』などを経て、プロットが出来上がる12月初頭には決定タイトルの『源氏リーインカーネイション -白旗高校七不思議-』になっていました。
しかしその頃は制作期間に3年もかかるとは思いもしませんでした。自分としてはここまで規模の大きいプロジェクトに取り組むのも初めてだったんです。一応22万字程度の小説を短期間に書いたことはあったりするのですが、それは小説だし連載で自分で設定した締切に追われていたこともあって書けた部分はありましたので……
ただ約23万字のシナリオを書くのに丸一年かかったのは、途中でDDLC MOD(シナリオを書き換える改造データ・二次創作)を並行して作っていたせいもあるんですが、締切を設定していなかったことで上手くモチベーションを保てなかったせいもあるんです。それにその制作したDDLC MODも全くウケなかったのでモチベーションに響き、何も良いことがありませんでした。
ともかく2024年12月にやっとシナリオを書き終えて、ゲーム制作の実作業に入りました。自分が制作に選んだゲームエンジンはRen'Pyという海外のVN制作ツールです。DDLCなどにも使われており、普段DDLC MOD制作で触っているのと、steamの実績機能に対応しているなど機能面で惹かれたためです。海外製のエンジンなため日本語の情報が少ないのですが、記事を書いている人や時にはRedditなどの海外掲示板を参考に作り始めました。
またRen’Pyを触り始めるのと同時に絵をイラストレーターさんに依頼するには元絵があった方が描きやすいんじゃないか、それに仮絵があると制作する上で仮置きできるから捗るんじゃないか、という二つの理由から絵が物凄くヘタクソながらキャラクターデザインを始めました。おそらく2025年の1月中はずっと絵を描いていたと思います。
そして一通り描き揃えてイラストレーターさんに依頼するという段階になりました。誰に依頼すればいいかって全然勝手がわからなくて、ともかく大鎧とか描けそうな人を探していて、鎧姿の源義経などをpixivで描いていた伴のりおりさんという方を見つけて、恐る恐るメールを送ってみました。今思えばちゃんとした依頼の手順を踏んでいたと言えませんが、快く受けてくださったのでありがたかったです。
スケジュールの都合がつき次第イラストを手掛けてくれるとのことでしたのでそれまでは仮置きで作業を進め、都合がつくとこちらでデザインしたキャラクター画像を送り、それを元にまずは立ち絵から描いていただくこととなりました。メイン三人は2025年3月には納品されて、残りも4月に納品されました。
また音楽はフリー素材、背景は有料素材を買って使用することにしましたが、どうしても市販の素材にない背景をどうしようかというところでココナラという依頼サイトでオゾンO³さんという方に開かずの扉(用務員室)の背景を描いていただきました。3月頭に依頼して中旬には仕上げていただいたので迅速な仕事ありがたかったです。
2025年6月には伴のりおりさんからタイトル画やスチルが納品され、制作も順調なため、一旦体験版を作り、steamで公開しようとストア申請から始めます。しかしこれが予想外にも難航します。
体験版自体は翻訳をどうするかについて、予算的に厳しいので一旦AI翻訳で様子を見てアンケートを取り、AI翻訳でも構わないかそれともやはり人に翻訳を依頼すべきか反応を見ることにして、ChatGPTを使って六日目まで(体験版の範囲)の翻訳作業をしました。
ただsteamのストア申請に不備があって、上手く対処できずに審査に落ち続けてしまったんです。詳しくはこちらの記事に描いています。steam側から返ってくる結果が毎回長文英語なのでよくわからないし、AIに相談してしまって間違った答えが返ってきているのに鵜呑みにして事態を悪化させて、詳しい人に相談していたら一発だっただろうなと思います……
ようやくsteamで体験版を公開できたのは2か月後の8月。その間steamの審査が通らないから仕方なくitch.ioで公開してみたりしました。とはいえ停滞を余儀なくされた時間だったと思います。
その後は作業は順調に進み、日本語のスクリプトは2025年10月時点で出来上がって最後まで遊べる状態になっていました。しかし日英二か国語に対応するため、英訳作業が残っておりました。
結局AI翻訳でいくことにしたのですが、ChatGPTの無料会員のため一日に翻訳できる量に制限があり少しずつしか作業を進められないこと、また翻訳した英文をスクリプトに一行ずつ貼り付けていく作業が思いのほか時間がかかること、などから翻訳作業が全然進まず、もうゲームはできてるのに翻訳が終わってないから世に出せないという状態が何カ月も続いてしまいました。
その結果、2025年内にリリース予定だったんですが年を跨いでしまい、翻訳作業が終わって日本語英語共に遊べる状態となったのは2026年2月頭時点でした。
それから2月終わりのSteamNextフェスに参加すると同時にsteamの実績を実装する作業を行い、3月頭にようやくマスターアップ、進捗率100%となりました。実に3年ほどかけて制作しましたが、いざリリースを前にすると不安でいっぱいでした。もしかして全く売れないんじゃないかと……
というのもSteamNextフェスの結果がプレイしてウィッシュリストに入れてくれた人がたった一人と芳しくなかったんです。このままだとその人に一本しか売れないんじゃないか……本来プロモーションを最初から考えてゲームを作るべきなのに、その時から焦ってプロモーションとか考え始めます。
こちらの記事にもプロモーションについてまとめているのですが、まずはプレスリリースを10件ほど送って2件、GAMER様とゲームパビリオンjp様に採用されました。ただSNSでのインプレッションなどはあまり良くなかったようで、知名度のないゲームは拡散されないというか、そもそもウケが悪いゲームはプレスリリースを送ってもどうしようもなかったのかもしれません。
またゲムぼく。様の「インディーゲーム応援プロジェクト」に応募してトップページ広告を出させてもらいました。約三週間の間にインプレッションが25200ほどあったらしいのでこれはそれなりに宣伝効果があったんじゃないかと思います。
それからリリース直前にキュレーターコネクトを以前『Zarie: The Story of Sin』のレビューを書いてくださったるるいえさん(3D酔いしちゃうけどゲームがしたい!)にお願いしました。本当に面白くなかったら情報提供になるところでしたが、おすすめにしてくださったのでありがたかったです。
最後に海外向けのプロモーションとして、Keymailerというインフルエンサーにキーを渡してやってもらい宣伝してもらう、その仲介をするプロモーションサイトで有力の広告セットを買いました。それはサイトのトップに広告が載ったり、SNSやメールでの宣伝の他、インフルエンサーに250、メディアに150キーを送れるようになるセットでした。そこで片っ端に自分のゲームと類似のゲームを過去にプレイしていて興味ありそうなインフルエンサー、いわば実況者にキーを送りまくったんです。
しかし結果から話すとそれは失敗でした。ほとんどのキーが有効化されておらず、いざゲームがリリースされてキーをもらった人で実況してる人が何人かいたものの、大抵序盤を少しだけやって、それも楽しんでいる風ではなかったんです。これでは売れようがありません。
ただ思わぬ副産物として、Keymailerを通して実況してくれた方から最後まで遊んだが英語が不自然だったので校正を無償で手伝おうかという連絡が来まして、今その方に英訳の修正を手伝ってもらっているんですよ。だからプロモーションとしては失敗だったもののやったことは無駄にはなっていませんでした。
『源氏リーインカーネイション -白旗高校七不思議-』は2026年3月24日、旧暦で壇ノ浦の戦いが行われたと記録に残っている日にリリースしました。何の後ろ盾もなくセルフパブリッシングの個人開発者が初めてゲームを販売してどれくらい売れたかというと、現在は42本です。この前のサマーセールで少し売れましたが、それまで長い間一本も売れないという状態が続いていました。いまだにsteamから一円も入金されていない程度には売れていません(売上が100ドルを超えないと入金されない)
インディーゲームクリエイターとしてやっていくのは無理だという現実を突きつけられてなお、その後もゲームを作っています。ただすノベルメーカーというツールで短編のフリーノベルゲームをいくつか作ったんですが、その反応も最初は芳しくなく、DDLC MODを作っても全く拡散されなかったことから「自分が作者だから」駄目なんだ、自分が嫌われすぎて自分の作品はもう評価されることはないと絶望しうつ病になってしまいました。それで少し創作活動から離れたんですが、アドラー心理学の本などを読み、結局自分はゲームを作るのをやめて真人間になろうとしていない、ゲームを作って生きていたいんだと思い直しまたゲーム制作に打ち込んでいます。
現在考えている次回作は解離性同一症障害をテーマにしたヴィジュアルノベルを作ろうと思っていて、様々な顔を持つヒロインとの交流と解離性同一症障害とメタフィクション、みたいな話をやりたいかなと思っています。いつ出せるかわからないんですが、シナリオは八割くらい書けてると思います。なのでいつか出せればと。キーヴィジュアルとか見せられるものができたらこちらの方で開発ログとか出すかもしれませんのでご期待ください。

フォローすると、開発ログや新作ゲームの公開が通知されます