以前ちらっと書きましたが、筆者は専業のゲーム開発者ではなく、フルタイムの別職を持ちながら余暇の時間を使ってゲームを制作しています。
リマスター版でノベルゲームとして一般的な立ち絵+背景形式からフルスチル形式に変更した時に制作上の最大のボトルネックとなったのはやはり膨大なスチルの制作でした。
紅蜘蛛外伝:暗花は310枚超、紅蜘蛛リマスター版は530枚超でしたが、テキスト量が紅蜘蛛リマスター版の倍となる紅蜘蛛2リマスター版では1,300枚を超えました。
これを2D手描きの線画・着彩で1枚ずつ制作した場合、カットごとのデッサン崩れやキャラクターの顔・体型の不一致が必ず発生し、物理的な制作時間もフルタイム勤務の傍らでは破綻します。
この問題を解決するため、本制作では「手描きによるアセット量産」を行わず、iClone 8およびCharacter Creator 4(CC4)を用いて3D撮影したものにPhotoshopアクションでポスプロ処理をかけるという手法を選択しています。
アセット量産の手法として「画像生成AIへのプロンプト入力(ぽん出し)」という選択肢も検討される時代ですが、シナリオ駆動型のフルスチルノベルゲームではこれを採用しないことは明確な開発上のメリットがあります。
具体的には以下の方法で撮影を行っています。
ベースアセットの作成
最初にCharacter Creator 4で主要キャラクターを作成し、フェイシャルや体型データを固定します。
最初に 作成したアバターの一部。紅蜘蛛2リマスター版全体ではモブも含めると70人近くの登場人物がいます
3Dセットの配置
iClone 8の3D空間内に舞台(部屋や街並み)とアバターを配置します。このセットは3Dアセットの組み合わせで立体的に構築することもあれば、現地で撮って来た写真などをベースに作成した背景画像を書割としてビルボードなどで置く場合もあります。
アングルと構図の決定
シーンの文脈に合わせて3D空間内にカメラを配置し、静止画(スチル)として切り出します。
3D描画において、凝ったシネマティックライティングや詳細なパラメータ調整に時間をかけると、カットごとの作業時間が伸び、全体としての統一感も失われます。そのため、現場での作業ルールを極限まで単純化しています。
複雑な演出パラメータをあえて追わないことで、試行錯誤にかかる時間をカットし、純粋な場面構築のスピードを維持しています。
3Dレンダリング画像をそのまま使用した場合、3D特有の生っぽさや質感が浮き、ビジュアルノベルとしての画面の馴染みが悪くなります。 この「生CG感」をできるだけ消し、全体を劇画・手描き風のトーンに統一するため、Photoshop上で80ステップ以上に及ぶ画像処理アクション(一括マクロ)を構築しました。
元画像にそのアクションを適用した上で、更に色味などの調節を行ったり、爆発場面などでは爆発のエフェクトを追加したりしています。
オリジナル版でも「あえて顔を描かないグラフィック」を採用することで、工数削減と同時にテキストと読者の想像力を噛み合わせたより豊かで自由な感情補完を生み出していました。 リマスター版でも実はほとんどのスチルや左下に表示される発話者の画像(これは設定で表示をオフにすることもできます)の表情は動かしていません。3Dベースのアバターでの繊細な表情の再現は難しく、下手に表情をつけると非常に大雑把なものになってしまいます。敢えて動かさないことにより脳内で補完してもらえるものになっていると思います。
これらの工夫により10カ月で1300枚超という生産枚数を実現しました。なお、その後の演出追加でこの1か月で100枚ほどスチルは増えていますが、それらは既存のカットの間の補完、つまりカットを割ることで増やされているものなので、ほとんど工数がかからず追加できています。
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紅蜘蛛2/Red Spider2リマスター版(Win/Mac/Android/iOSで広告・課金一切なしの完全非営利無料配信)のリリースは来年1月末を目指しています。
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また、昨年リリースしたシリーズ1作目のリマスター版「紅蜘蛛/Red Spider」リマスター版や一昨年リリースした紅蜘蛛外伝:暗花もフルスチル化作品ですのでお気軽に遊んでみてください。いずれもWin/Mac/Android/iOSで完全非営利無料配信中です。
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