感染症カード戦記『レギュレア』。これは、医師として診療を行い、たくさんの論文や書籍を書いたことで完成したゲームです。
なぜ医師がゲームを作るのか――原初の記憶は満足にゲームができなった幼少期にさかのぼります。1日1時間という制限の中、『MOTHER2』に夢中になっていました。その後、大学で一人暮らしを始めると、反動のように『真・三國無双3』漬けの日々を送りました。
時は流れ、医師になり、呼吸器内科を専攻したことが人生の転機となります。 所属した医局の雰囲気が非常に良く、楽しく診療をする中で多くのことを学びました。師匠と出会い、感染症への興味も芽生えました。
その後、せっせと臨床研究を行い、気付けば論文は46本まで増え、書籍の執筆依頼もいただくようになりました。執筆した論文の半分以上は感染症に関与したテーマであり、それらの経験を通してさらに臨床を深く勉強することができました。
ゲームを心から楽しんだ学生時代と医師としての研鑽, 感染症への出会いが一つに結び付いた, それが感染症カードゲームなのです。
以前から感染症とカードゲームの親和性に考えを巡らせていました。細菌を抗菌薬で倒す、そんなゲームがあったら楽しく勉強できるのではないかと。
しかし、すぐに最大の障壁にぶつかります。
単に細菌と戦うだけでは面白みがないのです。目的は”楽しく”感染症に触れることです。楽しくないなら教科書を読んでいた方が良いでしょう。
その期間、約10年。
どうすれば面白くなるかを考えに考えて行きついた先は、“互いに菌を感染させ合い、抗菌薬で守る“というシステムでした。抗菌薬は攻撃ではなく、回復アイテムにしたのです。そして、感染させる菌は臓器を選択させ、1つの臓器は原則1菌種しか感染できないことにしました。
例えば、黄色ブドウ球菌のカードを相手の皮膚に感染させたとします。その後、同じ黄色ブドウ球菌は皮膚に重ねて感染できますが、他の菌は皮膚をターゲットにできなくなるといった具合です。そうすることで、デッキに入っている菌カードをそれぞれどの臓器に感染させるかという戦略が生まれます。ちなみに、1臓器に1菌種という原則は実臨床を反映した設定になっています。
さらに、「互いを攻撃し合うなら相手はモンスターが良い」、「だったら異世界転生モノだ」と世界観もどんどん作られてゆきました。
しかし、ここで再び壁にぶつかることになります。
コストです。
カードを印刷し、パックにして配布するとなると、莫大なコストと出版社の存在が不可欠です。
実現できないんだろうなと諦めかけたその時、登場したのが生成AIでした。AIに手助けしてもらえたらコンピュータゲームとして開発できるのではないか。そこからAIと試行錯誤を繰り返し、ときにはケンカしながらゲームを作りました。医師としての仕事や書籍執筆と並行して作業を進めたため本当に忙しい日々でしたが、6か月で完成へとたどり着きました。
ゲームを作る目的は“楽しく”することです。なので、 もちろんストーリーにも力を注ぎました。ゲームシステムだけじゃなく、ストーリーでも驚かせたいと思っています。
でも初心者ですから、 無料のアセットを使う場面も多く、雰囲気がチグハグになりがちです。さらにキャラクターの名前もカッコいい名前を付けようとしても、どこか気恥ずかしい。
であれば、それらもストーリー上の設定に盛り込んでやれと、いくつもの布石を仕掛けました。
2周で完結するストーリー。
そんなところも楽しんでもらえたら嬉しいです。どこが布石なのか、その問いにはこう返すでしょう。
「全てが罠だぜ」と。
完成したゲームは、スマホ(iOS、Android)、Steamに対応しています。プレイしてくださった方から「勉強になった」という感想をいただくこともありますが、それ以上に嬉しかったのは「面白かった」という一言でした。
ヤバイです、ゲーム制作ってめっちゃ楽しい!
あ、ちなみに「スプラトゥーン2と気管支鏡の技術には関連がある」という論文をご存じでしょうか。
実は、あれも私です笑
▼感染症カード戦記『レギュレア』公式PV▼
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