こんにちは! パピヨンスタジオのさいです。
初めての個人開発作品となる短編ホラーゲーム『落命病棟 The Falling Hospital』を、約3ヶ月でひととおり遊べるところまで完成させました。
本作は、マイクを使ってループする廃病院を探索する短編ホラーゲームです。
声を出すと明かりが灯る。 でも、その声に怪異が寄ってくる。
プレイ時間は30分〜1時間ほどを予定しています。
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今回は、1作目を完成させるために「やらなかったこと」を書いていきます。
中には、1作目からいきなり大きな作品を作り切ってしまう方もいると思います。
普通にすごいと思いますし、これから書くことが唯一の正解だとは思っていません。
ただ、私のように「ゲームを作ってみたいけど、規模を大きく考えすぎて始められない」という方には、小さく作る方法もあると伝えられたら嬉しいです。
企画の最初に、プレイ時間を30分〜1時間と決めました。
これより長くしない、と先に上限を固定した感じです。
ゲームのボリュームは、増やそうと思えばいくらでも増やせます。
「もう1フロア追加したい」
「エンディングを分岐させたい」
「別のステージも作りたい」
こうしたアイデアをすべて追加していたら、いつまで経っても完成しません。
先に上限を決めておけば、あとから思いついたアイデアに対して「今回は入れない」と判断できます。
未来の自分が迷わないように、最初に枠を作っておくようなイメージです。
また、ホラーゲームの場合、短いことは必ずしも妥協ではないと思っています。
ホラーゲームは最初こそ怖いのですが、遊んでいるうちにプレイヤー側にも少しずつ耐性がついてきます。
敵の出方が読めてきたり、驚かせ方のクセが分かってきたりして、最初に感じていた恐怖は少しずつ薄れていきます。
そのため、ホラーゲームの場合は「長く遊べる=面白い」とは限らない場面も多いんじゃないかなと考えています。
(もちろん、長編ホラーが好きな方も一定数いるとは思います!)
だったら、まだ怖さが残っているうちに終わったほうがいい。
30分〜1時間という長さは、開発期間の都合でもありつつ、ジャンル的にもそのくらいが合っているはず、という判断でもありました。
本作の特徴は、マイクを使った仕組みです。
マイクに音が入ると、持っているろうそくの明かりが強くなります。
ただし、声を出すと怪異にも気づかれてしまいます。
↑声を出していない状態
↑マイクに音が入ると、ろうそくの明かりが強くなります
最初は、マイクを使えば面白いホラーゲームになると思っていました。
でも、実際に作ってみると、マイクとホラーの相性は思っていたほど良くありませんでした。
声を出すだけでは駆け引きが生まれなかったため、声に反応する敵を追加しています。
うまくいかないからといって、武器や複雑な謎解きなどを次々に足すことはしませんでした。
マイクという軸は残したまま、「どうすればゲームとして面白くなるか」を調整しています。
ひとつに絞ったからこそ、その仕組みの何が面白くて、何が足りないのかを最後まで考えられた気がします。
このあたりの試行錯誤については、以前の開発ログでも詳しく書きました。
本作の舞台は、ひとつの廃病院だけです。
屋外も、別の建物も、回想用の別ステージも作っていません。
舞台をひとつに絞ったことで、用意する背景素材もひとつの系統で済みました。
場所をひとつ増やすと、その場所に必要な素材集めや照明、雰囲気作りを、もう一度最初から行うことになります。
さらに、本作の廊下はループします。
進んでも進んでも、似た廊下に戻ってきます。
これはもともと、「どこまで進んでも出口がない」という閉塞感を出すために考えた仕組みでした。
同じ廊下を何度も通ってもらうので、新しい空間を大量に作らなくてもゲームが成立します。
しかも「さっきと同じ場所に戻ってきた」という気づき自体が、恐怖につながると思っています。
ひとつの空間を、演出としても、開発の効率化としても使うことができました!
怖くするための判断と、作らないための判断が一致した部分でした。
作れないことを嘆くより、作れないことをゲームの仕様にできないか考えてみる。
これで私はかなり助かりました!
本作に登場するNPCは、怪異を除けば1体だけです。
このNPCは、最初の企画には存在しませんでした。
開発の途中で「マイクの仕組みだけでは、ゲームとして少し弱いな」と感じ、ストーリーを追加する方向に変えたときに登場しました。
複数のキャラクターを出すことは断念し、1体にストーリーとギミックの役割を持たせています。
結果的に、このNPCはストーリーの中心になりつつ、プレイヤーが思わず声を出してしまう仕掛けにもなっています。
キャラクターを増やすと、モデルだけではなく、動きやセリフ、登場する場面なども必要になります。
今回は数を増やすより、1体をきちんとゲームに関わらせることにしました。
怪異や廃病院には有料アセットを使い、その他にも無料で利用できる素材を活用しています。
怪異と廃病院には、それぞれ3,000円ほどのアセットを使用しました。
私が作りたかったのは、3Dモデルそのものではなく、ホラーゲームです。
背景に置く椅子やベッド、点滴スタンドまで全部自分で作っていたら、それだけで何ヶ月もかかってしまいます。
そのため、素材をゼロから作るよりも、それらをどう配置して、どう照らして、どう怖く見せるかに時間を使いました。
もちろん、3Dモデルを作ること自体が目的なら、自作するのも良いと思います!
今回は「1作目のゲームを完成させる」ことが目的だったため、すべてを自作することはやめました。
※ここだけ少し技術寄りの話です。苦手な方は読み飛ばして大丈夫です!
本作には、本棚やメモ、車椅子など、プレイヤーが調べられるものが約18種類あります。
これらに「ボタンを押したら反応する」「近づいたら案内を表示する」という処理を、ひとつずつ書いていたら間に合いませんでした。
しかも、あとから仕様を変えたくなった場合、同じ部分を18箇所直すことになります。
そこで最初に、調べられるものに共通する土台をひとつだけ作りました。
新しく調べられるものを追加するときは、その土台を引き継ぎます。
この土台ができたあとは、見た目と表示する文章を変えれば完成です。
おかげで開発終盤でも、調べられるものをすぐに追加できました。
難しい設計をしなければいけない、という話ではありません。
同じ処理を2回書きそうになったら、一度だけ手を止めて、共通にできないか考えてみる、
1作目では、それくらいの意識でも十分役に立つと思います!
具体的な作り方については、また別の開発ログで書ければと思っています。
ここまで削る話ばかり書いてきましたが、削らなかったものもあります。
本作は、開発途中で一度大きく方向転換しています。
最初は「声を我慢しながら、ループする廊下から脱出する」という、マイクの仕組みを中心にしたゲームでした。
でも、実際に遊べる状態にしてみると、それだけでは面白くならないなと感じ、ストーリーを追加しました。
主人公がなぜこの廃病院を歩いているのか。
探索を進めるにつれて、少しずつ分かるようにしています。
予定になかったNPCも、このとき追加しました。
これは作業量を増やす判断です。
それでも、ここまで削ってしまうと「マイクで明かりがつく技術デモ」になってしまうと思い、追加することにしました。
作るものを減らすことは大切です。
でも、減らしすぎると、何のためにゲームを作っているのか分からなくなることもあります。
削っていいのは、必要以上に増えた物量です。
自分が面白いと思った部分まで削らないようにする。
この線引きは、作りながら何度も考えました。
ここまで書いた内容を実践した結果、約3ヶ月でゲームをひととおり遊べる状態まで持っていくことができました。
ただ、転職後で時間に余裕があったことは、正直かなり大きいです。
そのため「誰でも3ヶ月で作れる」という話ではありません。
生活の状況や、1日に使える時間は人によって違います。
3ヶ月という期間そのものを真似する必要はないと思っています。
大切なのは、自分が使える時間の中で完成できる規模にすることです。
私の場合は、それが30分〜1時間で遊べる短編ホラーゲームでした。
この記事を読んで、少しでも「自分もゲームを作ってみようかな」と思ってもらえたら嬉しいです!
『落命病棟 The Falling Hospital』は、8月21日にSteamでリリース予定です。
声を出すと明かりが灯り、その声に怪異が寄ってくる。
マイクを使ってループする廃病院を探索する短編ホラーゲームです。
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